CREATORS
クリエイター
塚原 あゆ子
ドラマ プロデューサー・ディレクター
エグゼクティブクリエイター職
エンタテインメント本部 ドラマ映画部
プロデューサー・ディレクター。
1997年入社。2018年「アンナチュラル」、2019年「グランメゾン東京」、2020年「MIU404」、2021年「最愛」、2023年「下剋上球児」など、多数のドラマを演出。2023年には映画「わたしの幸せな結婚」、2024年 映画「ラストマイル」監督。
今の時代を見つめて、人を深く切り取る。
ドラマのTBS。なぜそう言われるのでしょう。個人的には、登場人物を切り取る「深さ」にあると思っています。曜日や時間帯によってさまざまなタイプのドラマがありますが、ある程度の深みをもって人を切り取っている。ドラマはやはり、その時代に向けて発信しているもの。反響もリアルタイムです。時代との距離感というか、「今のドラマって、なんだろう」、「今の人たちは、どんなことを感じているんだろう」と考えられた企画が揃っている。それがドラマのTBSと言われる所以じゃないかと思いますね。
私も監督するとき、その曜日その時間帯に見る視聴者を意識します。小道具ひとつにしても、登場人物の背景やライフスタイル、作品の世界観などを考え尽くして作っています。今を見つめて作っているから、人を深く切り取ることができるんだと思います。演出のイメージを再現してくれる技術部や美術部、緑山スタジオなど、制作環境に恵まれていることも下支えになっています。
この仕事を始めたころ、会社に女性の監督はいませんでした。業界を見渡しても、圧倒的に少なかった。「女性は監督になれない」、それが当時の常識でした。でも今は、とても多くの女性が活躍しています。常識は、時代と共に変わっていくのだと思います。
入ったのはドラマを作る会社でしたが、今は違います。バラエティ番組、情報番組、報道番組、アニメーション、CM、PV……、幅広いジャンルの映像制作をする会社になりました。最近はアニメに興味があるので、その分野のクリエイターたちとのコラボレーションも考えています。同じ漫画原作の作品でもアニメとドラマでは、台本のつくり方、尺の使い方、カット割りなど、映像化の方法は異なりますから。作品へのアプローチを変えたら、もっと深く人を切り取れるかもしれない。ドラマ制作の新常識というか、新たなスタンダードが生まれる可能性も秘めていると思うのです。
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山口 伸一郎
バラエティ番組 総合演出・チーフディレクター
執行役員
エンタテインメント本部 副本部長
総合演出・チーフディレクター。
制作会社勤務、フリーランスを経て2005年 キャリア採用。TBS「ラヴィット!」「東大王」「ジョブチューン」などの立ち上げ・総合演出を担当。
番組は「作品」ではなく「商品」 バラエティの総合演出とは
総合演出の仕事は、企画の立案、台本・VTRなどの作成やチェック、収録時の指示出し、 そして編集の最終仕上げとなるMA(音入れ)作業。 品質管理というか、番組の演出面すべてに責任を持つ役割です。
「ジョブチューン」は7年半、「東大王」は3年半、「ラヴィット!」は丸1年、 番組の立ち上げから総合演出を務めました。
テレビ番組、特にバラエティ番組の場合は「作品」ではなく「商品」。そう考えています。個人的に「作品」という呼び方には「芸術性が高いから万人に届かなくても仕方ない」みたいなイメージがあって、作り手が満足できれば良いというか。でもバラエティ番組は違います。見る人を楽しませるためにつくるわけで、万人に届かなければいけない。作り手の姿勢として、100人いたら100人が満足してくれる番組、内容が100%伝わる番組を目指すべきだし、そうでありたい。まわりくどい表現をしないとか、テロップに難しい漢字を使わないとか、見る人に選んでもらえるよう、基本がおろそかにならないよう気をつけています。
バラエティ番組の面白さは、何をやってもいいこと。必要なのは企画力で、ゼロから自由に発想していい。そこが一番面白いところでもあり、一番難しいところ。やりがいでもあり、難しさでもあると感じています。たくさん企画を考えて、たくさん企画書を書いて、総合演出を務める番組を、まだまだつくっていきたいですね。
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新井 順子
ドラマ プロデューサー
エグゼクティブクリエイター職
エンタテインメント本部ドラマ映画部
プロデューサー。
2001年入社。2020年「MIU404」、2021年「着飾る恋には理由があって」、2021年「最愛」、2023年「下剋上球児」、2024年 映画「ラストマイル」など、多数のドラマや映画を企画・プロデュース。
リアリティにこだわった「下剋上球児」
プロデューサーの仕事は、キャスティングやスタッフの編成、予算の管理など色々ありますが「どんなドラマにするか」という台本作りは外せません。台本作りでは「どうすれば楽しめるか」「ワクワクするか」、よく考えますね。見た人たちに「そうきたか」「来週も見たい」と思ってもらいたいので。原作がある場合は、原作をベースにしますが、オリジナルの場合は設定から考えます。
「下剋上球児」は野球ができる人を入れてやりたいと思ったので、約半年をかけてオーディションを大々的に行いました。本当に甲子園を目指してる人たちを呼んだんです。
もちろん落ちた子もいるし受かった子もいますが、チーム内で「落ちた子のためにも頑張らないと」という気持ちが溢れ出して、みんなの絆がどんどん強くなって。本物のチームになりましたね。あと、私自身、野球にそこまで詳しくないので、本人たちに撮影するシーンなどを相談します。練習のシーンの時に、何をしたら良いかというのを本人たちが考えてくれますし、「野球ではこういうことは言いませんね」みたいなことを教えてもらうこともあります。
大切にしているのは、チームワーク。
プロデューサーデビューは2008年のTBS 昼ドラマ『ラブレター』。そこで感じたのは「決断することが多いな」ということ。やはり「こういうドラマを作ろう」という旗振り役でもあるので、自分の意見がないと周りを困惑させてしまうんです。また自分が「こうしたい」と言った一言で多くの人が動くので、感動を味わうとともに責任の大きさを感じましたね。各部署との調整も多く、精神力の要る仕事だなと。
嬉しいことに、若くしてプロデューサーになってすごいと褒めてもらうことが多いんですが、本当に運が良かったなと思っていて。振り返ると、どんなときも誰に対しても同じ態度で接してきたのが今に繋がっているのかなと。助監督時代に一緒に苦楽をともにした方々が、時を経て企画を検討する立場になられたときに、「なんか企画ある?」と声をかけてもらえるようになって。チャンスが広がったなと感じました。立場や肩書き、有名無名に関係なく敬意を持って人と接するのって、大切なことだと思うので、だから自分も関わる仕事はチームワークを大切にするよう心がけています。
若い人たちにとってプロデューサーは、話しかけづらい存在だったりするので、大して用事もないのにスタッフルームに行って話しかけるようにしています。そうすると「ちょっとコレなんですけど…」って声をかけてくれるんですよ。わざわざ訪ねて聞く内容じゃないことも、気軽に聞いてくれてコミュニケーションが深まりますよね。あとは、私がこれまで付いてきたプロデューサーには、ご飯とかカラオケとか連れて行ってもらったので、自分がしてもらって良かったことは下の子たちにもやりたいなと思っています。
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平野 隆
映画プロデューサー 映画監督
エクゼクティブクリエイター職
エンタテインメント本部ドラマ映画部
プロデューサー、映画監督。
1991年 現TBSテレビ入社。2021年TBSスパークル出向。
2016年「64-ロクヨン-前編/後編」、2017年「8年越の花嫁」「チア☆ダン」、 2020年「糸」 、2022年「ラーゲリより愛を込めて」など多数の映画をプロデュース。
2022年初監督作「KAPPEI」がブリュッセル国際ファンタスティック映画祭で作品賞を受賞。
映画づくりとは、時代の“風を読む”こと
私の場合、基本的に自分で企画を立ち上げ、プロデュースする事が多いので、企画から公開まで2〜3年かかることが多いです。振り返ってみても、傑作だと思える作品が必ずヒットするかと言えばそうではありませんし、あまり自信がなかったものが大ヒットすることもあります。恐らくその時々の時代感と、作品とのマッチングが成否を分けるのではないかと思います。だからプロデューサーは風を読む能力も備えていなくてはならないと思います。監督もやりましたが、準備、撮影、ポスプロに深くタッチするプロデューススタイルをとっていた為か、あまり困ったことはありませんでした。ただ「感染列島」で原作を書いたり、「糸」で原案を考えたりする時は、全く違う作家としての向き合い方をしました。
プロデューサー人生を決定づけた 映画「黄泉がえり」
私の若い頃は徒弟制度バリバリの時代で、かなり尖がっていた私にはプロデューサーになるチャンスなど全くありませんでした。ただ先輩が一人しかいない映画セクションに異動になり、なんとかチャンスを掴み、いくつか成功をおさめ、今後のプロデューサー人生を決定づけるであろう作品に挑みました。それが「黄泉がえり」(2003年)です。ただ公開当初、成績は芳しくなく、絶望の淵に落ちました。ところが2週目、3週目と口コミで動員が伸び、 最終的に興行収入31億円の大ヒットとなりました。その後スピルバーグのドリームワークスからリメイクのオファーを頂いた時には震えました。
今後は80歳になっても頑張っているジェリー・ブラッカイマーの背中を遠くから見ていきます。
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江夏 治樹
情報 / ドキュメンタリー番組
プロデューサー・ディレクター
ニュース情報本部 クロスメディアセンター 文化情報部
プロデューサー・ディレクター。
2004年入社。BSテレ東「写真家たちの日本紀行」、BSフジ「滝川クリステルのアースウォーカー」などのディレクターを経て、2010年よりTBS「世界遺産」を担当。現在はプロデューサーも兼任。
見たことがないものを、驚くような映像で届けたい。
TBS『世界遺産』は20年以上続くドキュメンタリー番組。支持を得ている理由のひとつに「圧倒的な映像の力」があると思います。視聴者が見たことがないものを、驚くような映像で届ける。私たちが大切にしているところです。
日程や行程を決めておいても、思い通りにいかないのが海外ロケ。天候にも左右されます。でも「これだけは撮りたい」というものは譲りません。そこで大切になるのは、コミュニケーション力、適応力と臨機応変さだと思うんです。
『世界遺産』の撮影で、ペルーのワスカラン国立公園に行ったときのこと。標高4600mに青い湖があるのですが、晴れないときれいな青には見えない。山の麓でキャンプをして、2時間かけて山を登り、1日中待っても撮れなかった。それで「明日も登ろう」と予定を変更したんです。現地のポーターなどは日当を払えばいいのですが、技術スタッフにすれば「機材の上げ下ろしで1日無駄にしたくない」と思うのは当然で。それでも「この人が言うなら」と思ってもらうには、場所の重要性や番組の方向性を事前に深く共有しておく必要があります。「最高の映像を撮る」。想いの強さを共有するコミュニケーション力が必要なんだと思います。
その一方で、撮れるまで粘るのが正解とも限りません。駄目なものは割り切って別プランを考えるなど、その場に応じた臨機応変さも求められます。現地で探し直すのは大変ですが、経験を積むと「ここに山があるということは、こっちに森があるはずだ」と、撮影場所のアタリが付けられるようになりますし、目線を変えて面白いネタをみつけることもできます。「じゃあ次いこう」と判断するポイントを見極めるのは難しいですが、そこも含めてディレクターの手腕。“ドキュメンタリーは、撮れたものがすべて”なのです。
大自然が見せる一瞬の輝きや動物の面白い生態を目の前にすると、この仕事をやっていて良かったと思います。そして自分だけが楽しむのではなく、心を震わせる映像、驚くような映像を、視聴者の皆さんに届けていく番組作りをしていきたいですね。
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守川 雄一郎
TBS報道局 ワシントン支局
上席プロフェッショナル職
ニュース情報本部 編集番組センター ニュース制作部
ディレクター。
全国紙記者を経て2018年キャリア採用。TBS「あさチャン!」 BS-TBS「報道1930」ディレクターを経て、報道局政治部では総理官邸の官房長官番などを担当。
2023年から「news23」 ディレクターを務め、2024年8月からTBSワシントン支局勤務。
※インタビュー内容は「news23」 ディレクター当時のものです。
どんな分野の、どんな現場にも行ける 「news23」
現在は、報道番組「news23」のディレクターをしています。
ニュースの現場を取材し、原稿を書いて、VTRを編集します。どうすれば、より中身の濃いニュースに出来るのかと、スタジオでの展開や構成、ゲストの選定も含めて、試行錯誤するのが毎日の仕事です。その日に起こった出来事を猛スピードで追いかけることもあれば、時間をかけてひとつのテーマにじっくり取り組むこともあります。
政治や外交・安全保障を主に担当していますが、どんな分野もやれるのがやりがいのひとつです。
阪神タイガースの18年ぶりの優勝では、ファンの歓喜の瞬間を熱気を感じながら取材しました。マイナ保険証の問題では、閉院に追い込まれることになった地方の病院に密着。高齢の医師や患者さんたちの思いを聞き、特集として放送しました。どんな現場にも行けます。また、自分が関心を持ったテーマについて、一から企画を立てて、実現することも出来ます。経験豊富な仲間が大勢いるので、アドバイスや刺激をもらいながら、働いています。
人気アーティストのゲイ公表 テレビ初インタビュー
印象深い仕事のひとつが、LGBTQであることを公表した、J-POPの人気アーティストに新聞・テレビで初めてインタビューしたことです。
ゲイであることをカミングアウトした、音楽グループ「AAA」の與 真司郎さんに決断に込めた思いを取材したいと考え、ゼロから企画を立ち上げました。人間の内面に関する繊細なテーマであるため、しっかりとコンセプトを練り上げ、1か月以上交渉を重ね、活動拠点のアメリカ・ロサンゼルスからの本人の中継インタビューとお母さんへの取材が実現しました。
セクシュアリティへの葛藤を忘れるため、ダンスに没頭したこと。アメリカで自分らしく生きていいと知ったこと。「ファンを傷つけるのでは」と公表まで何度も悩んだこと。どれも本人にしか語れない言葉でした。
LGBTQの当事者が置かれている厳しい現実とともに未来に繋がるメッセージを伝えることで、社会的に大切なテーマを多くの人に身近な課題として考えてもらえるきっかけに出来たのではないかと思っています。
WORKS
手塚 準
スポーツ中継 ディレクター
スポーツ・ビジネス戦略本部 中継制作部
ディレクター。
2005年入社。2015年より「news23」「S☆1」のスポーツニュース担当ディレクターとして、プロ野球 ヤクルト・西武を担当。2020年より中継制作部 野球中継チーフディレクターとして「日本シリーズ」「WBC」「世界陸上」「東京五輪」を担当。
スポーツ中継の“監督”として伝えた、侍ジャパン世界一
野球中継に関わるスタッフは、制作・技術あわせて30人程度。WBC規模になると、トータル200人以上もいます。制作スタッフのポジションも様々で、中継車から全体を指揮するチーフディレクター、スローVTRを指示するディレクター、ハイライトなどを作成するディレクターや解説・実況に指示する放送席ディレクターなど役割が細分化されています。 中継はチームプレーが非常に大事な仕事です。全てのスタッフが同じ意識で臨まないとミスに繋がりますし、良い映像を作れません。私が担当しているチーフディレクターは全体を把握し、各ポジションに指示をするチームの監督のような役割を担います。
日本中を熱狂させたワールド・ベースボール・クラシック2023。
大会開幕の半年以上前から打ち合わせと準備を重ね、スポーツ以外の番組(情報番組、報道、バラエティ)が一丸となって大会を盛り上げた結果、1次ラウンドの日韓戦は世帯視聴率44.4%を記録。
視聴率が全てでは無いと思いますが「テレビは終わった」と言われる時代に、多くの人がテレビを観て熱狂してくれたことに「まだまだテレビもやれるぞ!」と今後のモチベーションになりました。
そして、侍ジャパン世界一の瞬間を現地アメリカから中継できたことは、テレビマン人生で最高の瞬間!もう思い残すことは無いと感じたぐらいです。
スポーツの現場の魅力は、胸が熱くなる瞬間を味わえること。トップアスリートが人生を懸けて勝負する筋書きのないドラマをどう描くか?それがスポーツ中継の醍醐味です。